ボイトレTips #013 ♪ 声をアテる魔法の濁点

なんだか上手く歌えない楽曲ってありますよね、そんなときは歌詞をすべて Nei(ネィ)に置き換えて歌うと音圧やピッチが安定してとても歌いやすくなります。さて、全く同じメロディなのに Nei だと歌い易く、歌詞だと歌い難くなってしまうのは何故でしょう。それは Nei で歌うと声帯がしっかり閉じるのに対して、歌詞で歌った時は声帯の閉じ方が甘くなってしまうからなんですね。そこでこの問題を解決するための効果的なテクニックをひとつ。歌詞の母音に濁点をつけるイメージで言葉を発音して歌ってみましょう。たとえば「あなた〜♪」という歌詞なら「あ”なた〜♪」、「きみが〜♪」ならば「き」の母音は「い」だから「き(い”)みが〜♪」というように歌うと Nei に近い感じで声が出て歌いやすくなります。つまり濁点をつけることで声帯がしっかり閉じるわけです。声帯をしっかり閉じて発声すると息漏れがなくなり、声帯を閉じるための力が不要になります。その結果、喉に力がかからなくなるので声帯の振動が豊かになります。この理想的な発声が「声をアテる」ということです。アテて歌い始めたらそのフレーズが終わるまで(次のブレスまでの間)横隔膜をサポートして声帯を緩めずに歌うことで安定したボーカルになります。この横隔膜のサポート感覚が俗にいう「お腹に力を入れて歌う」や「腹から声を出す」ということなんですが、これについては既出の「ボイトレTips # 009 ♪ 横隔膜の動作について」をご覧くださいませ。さあ、みなさんも歌いなれた曲で「濁点の魔法」を実践してみましょう。でも、やり過ぎると訛った感じになってしまうので、何事も程よい加減が大事です。