ボイトレTips #014 ♪ 「滑舌を良く」はNG!

CMで流れる商品名や企業名にメロディーをつけたもの、たとえば「♪セブンイレブン、いい気分」みたいなものをサウンド・ロゴと言いますが、このロゴを歌うときに気をつけなれればいけないのが言葉をはっきり歌うということ。つまり、当然のことながら商品名や企業名がちゃんと聞き取れることが何より重要となります。
さて、日本語をはっきり認識できるようにするには、ひとつひとつの文字が独立して聞こえるように発音しなければなりません。
しかし、サウンド・ロゴのような商品名を伝える場合は良いけれど、切なさなどの心を伝えるボーカルの場合は違って来ます。ひとつひとつの文字が独立するように発声すると声音が物理的に連続し難くなります。その結果、声量にムラが生じます。声量が安定しないボーカルは説得力に欠けます。つまり滑舌の良い歌では心情は伝わらないのです。歌のお兄さん的ボーカルでは「泣けない・・・」というのは、そういう理由によるものなんですね。
歌詞が入って来ないボーカルを改善しようとして「滑舌を良くして!」とシンガーにリクエストしたらレコーディングがドツボにはまってしまった、というのはよくある話ですが、歌詞が伝わって来ないのは滑舌が悪いからではないんです。おそらくきっと誰でも滑舌を良く歌おうとした途端、歌えてたものも歌えなくなってしまうでしょう。
では、どうしたら歌詞が心に入ってくるようになるか?それは滑舌なんて意識しないで、自然に言葉を発音しながら、母音をよりしっかり出して、なめらかに声をつなげて歌えば良いのです。しっかり声が出てくれば歌詞は届くようになります。
しかしアマチュアの場合は声が出ているのに歌詞が聞き取れないという人もいます。こういった人のボーカル改善については、また次回お話しましょう!